top of page
  • 執筆者の写真hanamura

夏の分校:1日目

更新日:2021年9月11日

◯実施日:2019年8月8日(木)

◯天 候:晴れ ◯参加者:24人 ◯報告者:志賀誠治  いよいよ夏の分校がスタートしました。今年も東京、名古屋、岡山、山口、広島などから24名の子どもを迎えることができました。  昼前に分校の会場である「地球派塾」に到着。開校式、班旗作り、生活の準備、ウェルカムパーティーとスケジュールが進み、無事1日を終えることができました。

 これから2週間分校レポートを掲載するにあたり、スタッフ研修で私がレクチャーした内容を掲載しておきたいと思います。夏の分校の歴史がそこにあるのです。是非ご一読ください。




          

            夏の分校1/2ヶ月の開催にあたって


●なぜ共盛地区で長期キャンプなのか?(経緯)

 「夏の分校1/2ヶ月」スタッフ・キックオフミーティングにあたり、これまでの長期キャンプの経緯を少しまとめておきたいと思います。

 今回の長期キャンプの会場となっているのが北広島町共盛地区にある「地球派塾」です。私が、共盛地区と深い関わりを持つようになったのは、今から23年前1996年のことです。当時共盛地区は39世帯97人の人が生活をしていました。そのうち、小中学校に通う子どもがいる家はすでに1軒のみでした。地域は高齢化が進み、人口ピラミッドは「浮雲型」といわれ、30歳代の世代が一人もいない状況で、限界集落(このままでは集落が存続しない)と呼ばれる集落でした。

 このような限界集落で広島ホームテレビと協力をし、地球派塾(自然学校)を開校したのが1996年です。その前年(1995年)に、自然学校を開校するための話し合いを約半年間、幾度となく足を運んで地元と行いました。当時の地元の皆さんの反応は、「テレビ局や都市の者が入ってきても地元にとっては迷惑!何もいいことはない!」というのが一般的なものでした。それでも、FさんやSさんのようなすばらしいリーダーがおられ、当時地元カジカの会(地域活性化の会)で話し合われていた活性化を具体化するために、何とか自然学校に取り組んでみようという合意を得て地球派塾がスタートしたのです。

 地元にとっては、この地球派塾の運営はたいへんな苦労があったと思います。しかし、広島市内のような都市部ではすでに失われた循環型のライフスタイルが地域内に残り、それを都会の人たちが学ぶことは、環境問題ばかりでなく、家族問題、子どもの教育問題等さまざまな問題を抱える都会の人たちにとっては言葉に換えることができない貴重な財産だったのです。

 地球派塾がスタートしてしばらくした後、Sさんから酒森小学校(長期キャンプの会場)の話を聞く機会がありました。小学校を建設するとき、地元の人たちがそれぞれ自分の山から木を切り出し、労力を提供してみんなで建設した小学校であること、また、昭和46年(1971年)に廃校になるときの最後の児童数が24名であったこと、地元では小学校がなくなったことで愛着のある学舎に子どもの声が響かない毎日をとても寂しく感じていること、等々・・・。この話を聞き、共盛地区にある教育力をもう一度子どもたちのために使うことはできないか、そして、子どもの声が聞こえる学舎を通して地元の方々を元気づけられないかという想いから「子ども長期自然体験村」という長期キャンプの実施に踏み切ることにしました。

 「子ども長期自然体験村」がスタートしたのは2000年のことです。夏休み中に廃校時の最後の児童数と同じ24人の子どもたちを旧酒森小学校に迎え、学校を開こうという試みで、2000年〜2009年まで10回開催しました。そして、節目である10回目を数えた2009年のキャンプを最後に、一旦この長期キャンプを終了することとなりました。

 しかし、長期キャンプ終了後、多くの方々から長期キャンプの復活を求める声をいただきました。その声に後押しされながら、2013年夏から長期キャンプを再開し今日に至っています。

 今年は復活7 年目のキャンプとなりますが、さらにバージョンアップして関係者みんなにとって記憶に残るキャンプにしたい気持ちでいっぱいです。

 今年の長期キャンプにスタッフとして関わってくださるみなさんに心から敬意を表します。共に協力しあって、すばらしいキャンプにしましょう!

●長期キャンプへの想い

 この長期キャンプには、たくさんの人がそれぞれの立場でさまざまな想いを抱きながら関わっています。参加者の子ども、子どもをキャンプに送り出す保護者、子どもを受け入れるスタッフ、ゲストでキャンプを盛り上げてくれる講師の方、地元の行政や教育委員会、そして私たちよそ者に快く場所を提供してくださる地元の方々・・・。数え上げればきりがありません。

 こんなにたくさんの人の想いが詰まったのが「長期キャンプ」なのです。私たちスタッフは、このような人たちの想いを受け取ってキャンプに臨まなければいけません。そして、それは決して楽なことではありません。何よりキャンプにスタッフとして関わろうとしているあなた自身にもあなたなりのキャンプに対する想いがあるはずです。あなた自身の想いを大切にするキャンプであってほしいと思います。しかし、それは「わがまま」であるということではありません。あなたの想いと他のさまざまな人との想いをすりあわせ、このキャンプを通して、関わりのある人みんなが幸せになれるような、そんな折り合いをつけてほしいのです。折り合いをつけるためにはどうすればよいか、たとえば自分中心に見ているものの見方を相手の視点から見直してみるということも1つの方法だと思います。そのほかにもいろいろな方法がありそうです。キャンプが始まるまでに是非真剣に考えてみてください。

 この長期キャンプは、私たちスタッフの気持ちが一つになり、チーム力が最大限に発揮されて初めて成功への道が開けると考えます。チームの一員として自分に何ができるか…一人ひとりが自分へ問いかけてみてください。

●長期キャンプだからできること

 長期キャンプ(通常2週間以上)は短期キャンプ(1週間以内)とどこが違うのでしょうか?それは文字通り期間が長いということです。キャンプ期間が長いとさまざまなコトが起こります。

 例えば、3泊4日程度のキャンプだとキャンプ期間中に一度もウンチをせずに帰る子がいます。また、毎晩夜更かしをして体調の限界に達して帰る子もいます。洗濯を一度もせずに帰る子もいます。さまざまな面で子どもの体調その他生活の基盤が一度ピークに達するのがキャンプ4日目〜5日目くらいです。短期キャンプでは、このようなピークを迎えたときに楽なお家に帰ってしまいます。ところが、長期キャンプではそうはいきません。トイレにも行かなければならない、洗濯もしなければならない・・・つまり、一度キャンプのピークに達してその後1週間以上キャンプを続けなければならないわけです。そうなると、人間というのは素の自分がでてきます。いい子で過ごせなくなり、普段の自分が表れ始めます。そんな中で子どもたちは、地に足をつけて衣食住を行う下地ができてきます。今回のキャンプのコンセプト「じっくり暮らす」はそのような想いからつけられています。

 また、プログラムに目を向けてみると、短期キャンプの場合、主催者があれもこれもと欲張りすぎて、ゆとりのない詰め込みの活動を計画しがちです。これでは、子どもたちにとっては、学校の授業と一緒で、誰かから与えられるものを口をあけて待っているだけです。現在の学校の授業を見るとよくわかりますが、教師は時間との戦いの中で、できるだけ効率性を求め、自分が計画した授業という枠に子どもを閉じこめてただひたすら与え続けている状況です。

 長期キャンプで育てたい能力は、自分自身の頭で考える力、それを表現する力などです。これらの能力を育てるには時間が必要です。子どもが何か試行錯誤しているときに、答えを与えるのでなく、答えを導き出すプロセスを支援することが必要になります。それには時間がかかります。長期キャンプは、今日解決できなかったことを明日まで待つことが可能です。つまり、子どもがとことん試行錯誤して、自分なりの答えを見つけることを支援する時間があるのです。(もちろん、時間があっても適切な支援ができなければ「無駄な時間」になることも多々あります)長期キャンプのもう一つのコンセプト「とことん遊ぶ」はこのような想いでつくられました。

 今回のキャンプのコンセプト「じっくり暮らす・とことん遊ぶ」はまさに長期キャンプだからできることなのです。スタッフのみなさんは、このコンセプトの意味を十分に理解した上で、まず自分自身が率先してこのコンセプトを実践するキャンプをすごしてください。


#ひろしま自然学校 #自然学校 #長期キャンプ #長期自然体験 #自然体験活動 #子どもキャンプ #小学生キャンプ #中学生キャンプ #13泊14日 #田舎暮らし体験 #北広島町

閲覧数:404回1件のコメント

最新記事

すべて表示
bottom of page